Ri.Night Ⅲ


「……っ」


そう思った瞬間、背中に受けた衝撃。

けど、そこで止まる事はなく、そのまま後ろへと倒れていった。



「……っ凛音、」


何がどうなったのか一瞬分からなくなって、気付いた時には仰向けに倒れていた。


「……凛音、大丈夫か?」


「………っ」



至近距離から聞こえる十夜の声。


苦しげな、それでいて心配そうなその声に、自分が今、十夜から逃げていた事を思い出した。



「……っ、離して!」


腰に巻き付けられた腕を振り解こうと身体を左右に振るけど、十夜の腕の力は離すまいとますます強くなっていって。


「やだっ!離して!」


「っ凛音……!」



十夜の身体に乗っかったまま左右に身を捩り、自由のきく両手で十夜の腕を引き離そうと試みるけど、どれだけ引っ張っても巻き付いた腕は離れてくれない。


……っなんで!?

なんで離してくれないの!?



「嫌だ!離して!!」


あたしはもう十夜と逢いたくないのに……!



「凛音……!落ち着け!」


「離して!お願いだから離して!」


「……っ、凛音…!」



引き離せないのならと、身体を力一杯左右に揺らして十夜から逃れよう足を地面につける。


すると身体が右に傾き、右手が地面についた。


このまま左手も……。


そう思っていると、身体に巻き付いていた十夜の腕が解かれ、地面へと身体が投げ出される。

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