Ri.Night Ⅲ
夕方と言えど季節は真夏。
密着すると物凄く暑い。
けど、今はそんな事どうでもよかった。
今はただ、十夜と離れたくないという想いの方が大きくて。
この腕を離したくない。十夜と離れたくない。
あたしの中にはその想いしかなかった。
この腕を離せば、十夜とお別れしなきゃいけなくなる。一緒にはいられなくなる。
それが、堪らなく嫌だった。
だけど───
「凛音」
いつかは離れなきゃいけない。
「……うん」
ずっと、このままじゃいられない。
だから、嫌でもこの腕を離さなきゃいけない。
名残惜しむ様に、ゆっくりと十夜の首から両腕を離すと、少しづつ離れていく十夜の温もり。
それに比例して、苦しい程の切なさと泣きたくなる程の寂しさが募っていく。
今のあたし、きっと酷い顔してる。
こんな顔、十夜には見せたくない。見せられない。
だから、身体が離れていく間ずっと俯いて顔を隠した。
もちろん、離れてしまった今も。
「………」
「………」
二人の間に流れる気まずい空気。
やっぱり、十夜の顔見れない。
笑顔でお別れなんて絶対出来ない。
「凛音……」
……十夜の顔を見てバイバイなんて言えないよ。