Ri.Night Ⅲ
……十夜、ありがとう。
此処へ来てくれて、何日も待ってくれて、
本当にありがとう。
あたしも好きだから。
十夜の事が好きだから。
ずっとずっと大好きだから。
だから、いつかまた逢える日まで大人しく待ってるね。
十夜、大好き……。
言葉には出せない想いを心の中で精一杯伝える。
──これで、最後。
そう呟いて、ギュッと力を込めた後、十夜の身体から手を離した。
踵を返して、その場から駆け出そうと足を踏み出す。
「……っ」
──けれど、それは十夜によって阻止されてしまった。
腕を引かれた事によって半回転した身体。
そのまま前へと傾いたかと思うと、十夜の胸の中へと閉じ込められた。
「──お前が悪い」
抱き締めたまま、顔を上に向けさせられて口を塞がれる。
「十夜……」
角度を変える度深くなるキス。
深くなるほど十夜への想いが募って。
息が乱れ始めた頃には首に回されていた腕は解かれ、代わりに十夜の両手があたしの両頬を覆っていた。
「……阿呆」
ゆっくりと唇が離れたかと思うと小さくそう呟かれて。
コツンとおでこに十夜のおでこがぶつかる。
あたしを覗き込む様にして見つめる十夜の瞳は、漆黒の色を放ちながらも微かに揺れていて。
その瞳に見つめられていると、言い表しようがない感情が身体中に駆け巡っていった。
「離れたく無くなるような事すんな」
「……っ、ごめ……」
言葉は咎めているのにその声色は今までのどの言葉よりも優しくて、涙が溢れる。