Ri.Night Ⅲ


「そんなの分かんないだろ?凛音は可愛い──」


「もーいいから!」


何回言う気だ。


「取り敢えず戸締まりはしっかりな。何かあったら電話する事」


「ラジャー」


じゃあな、と手を上げて出ていく二人。


そんな二人に手を振り、早々とドアを閉めて鍵を掛けた。





「……ふぅ」


一人になると一気に気が抜けて。

崩れ落ちる様に玄関のフローリングへと腰を下ろし、足を伸ばした。


「疲れた」


ホント疲れた。


けど、心の中には今までにないぐらいの幸福感に満ちている。



……寂しい。

けど、それに勝るほど幸せで。


気持ちが繋がってる。


それだけで寂しさが消えていく様な気がした。


けれど、それに反して貴兄と優音への罪悪感は消えてくれない。


十夜は気にするなと言ったけど、そんなの無理だ。


二人の顔を見るだけで罪悪感が膨らんでいく。


きっと、この罪悪感はあたしに課せられた義務なんだ。


鳳皇と獅鷹が和解するまで、あたしはこの罪悪感を背負っていかなきゃいけない。


あたしにはそれしか出来ないから。


両チームが和解出来るのなら、あたしはどんな事でも耐えてみせる。






この時のあたしは知らなかった。


この決意が一瞬で崩されてしまう事を。


ううん。それだけじゃない。


崩されるだけではなく、更に奈落の底へと落とされる事を。


この時のあたしは知らなかった。

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