Ri.Night Ⅲ

────…


 -煌 side-



「……十夜!!」


ガチャというドアの音と共に発せられたのは陽の声。


まだ姿も見えていないのに十夜だと確信しているのか、玄関へと一目散に走っていく。


その後ろ姿はまるでご主人様を待ちわびていたワンコの様で。


「ククッ」


思わず笑ってしまった。



「十夜!凛音、元気だった!?」


「……あぁ」


二人掛けソファーに腰を下ろした十夜にじゃれつきにいく陽。


しっぽ振りまくりのワンコに小さく笑みを浮かべた十夜は、待てとでも言うように陽の頭をクシャリと撫でた。


その仕種に「セットが乱れる!」と文句を言いながらも嬉しそうに笑う陽。


そんな陽見て壱と彼方も穏やかに笑っている。


かく言う自分もその内の一人に入っているのだけれど。




陽はこの中の誰よりも十夜の帰りを待っていた。


正確には十夜から告げられる凛音の情報を、だけど。
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