Ri.Night Ⅲ


「その様子じゃ上手くいったようだな」


最近じゃ滅多に見せなくなっていた笑顔。


上手くいった証拠だろ。


「……フッ」


アイツの力は凄ぇな。


思わず笑いたくなる程の変化に感心せずにはいられない。



「早速手出したのか?」


深く腰掛けていたソファーから身体を起こし、煙草を取り出しながら茶化す。


「手!?」


「何だよ。やっと上手くいったんだぜ?ちゅーぐらいすんだろ」


反応してみせたのは十夜ではなく陽で。


顔を赤らめて両手で口元を押さえている姿が何とも初々しい。


可愛いーなコイツ。

そんな反応されるとついついからかいたくなるんだよな。


ほら、俺Sだし。



「陽チャン、俺がちゅー、してやろうか?」


煙草を灰皿に置いてチョイチョイと人差し指で呼び寄せると、


「す、するかぁーー!!」


両手で顔を覆いながら叫ぶ陽。


さすが陽だな。

期待通りの反応をしてくれる。


お猿の様に顔を真っ赤にさせて怒っている姿は若干アイツと重なって。

やっぱアイツと陽は似てるなと思った。
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