Ri.Night Ⅲ
「──壱」
「あぁ」
十夜が壱を呼ぶ。
壱は返事をすると直ぐ様立ち上がり、パソコンへと向かった。
慣れた手つきでキーを叩き、鳳皇傘下に連絡し始める。
いつの間にか落ち着きを取り戻したらしい陽と彼方は各自元の位置へと戻り、楽しそうにうっすらと笑みを浮かべて十夜の言葉を待っていた。
身体が疼き出す。
迫り来る決戦に身震いが止まらない。
早く早く早く。
「──招集をかけろ」
アイツを取り戻す日がすぐそこまで来ている。
「陽、行くぞ」
「おぅ」
そう思うだけで血が騒ぎ出す。
それは此処にいる全員が感じているだろう。
パタンと静かに閉まる扉。
二人の姿が見えなくなり、視線を元の位置へ戻すと、代わりに手のひらをジッと見つめる十夜の姿が視界に映った。
何かを決意するようにグッと強く握り締められた拳。
その拳に込められた想いは十夜にしか分からない。
俺等は必ずアイツを取り戻す。
十夜の為にも。
アイツの為にも。
そして俺達、
鳳皇の為にも。
-煌 side end-