Ri.Night Ⅲ
「リン、こっちが遥香ちゃんで、こっちが葵ちゃん」
遊大の紹介に、二人共丁寧に頭を下げてくれる。
『えっと、遊大とはどういう繋がりで?』
遊大のくせに美女二人とデートとか有り得ないんだけど。
「あ、遊大くんとは留学先で出会ったんです」
『留学先?』
「あれ?言ってなかったっけ?俺、手術が終わった後リハビリしながら学校通ってたんだよ。二人とはそこで知り合ったんだ」
『……あ』
そう言えば貴兄言ってたっけ。向こうで学校行くって。
「遊大くん、この後予定あるって言ってたよね?もしかしてリンくんと?」
「え?あ、うん、そう」
「じゃあこのままリンくんと行って?大体回れたし、この後は二人で頑張るから」
「でも、」
「大丈夫!案内ありがとう、遊大くん」
遥香さんの申し出に、申し訳なさそうにお礼を言う遊大。
「二人共、本当に大丈夫?帰り道分かる?」
再び男らしいバージョンに早変わりした色ボケ遊大が不安そうに二人を交互に見下ろす。
あぁ~、何回見てもあの遊大には鳥肌が立つ~。
本日二度目の鳥肌に、何だか全身がむず痒くなってきた。
これは見慣れるのに時間がかかるかもしれない。
「大丈夫だよ!私記憶力良いから!」
「え?」
両手をグッと握りしめて気合いを入れる葵さんに遊大の頬が引き攣る。
え、何その顔。
「大丈夫。遊大くん心配しないで。私が覚えてるから」
遥香さんが苦笑しながらそう言うと、遊大はホッと溜め息をついて笑い返した。
二人の微妙な笑顔から察するに、きっと葵さんは極度の方向音痴なんだろう。
大丈夫かな、あの二人……。