Ri.Night Ⅲ
倉庫に足を踏み入れると、即座に降り注ぐ不審な目。
……そうか、今年から入った新入りはあたしを知らないんだ。
知らない人から見ればあたしはただの不審者な訳で。
けど、直ぐに見る目が変わった気がする。
なんでだろう?
「──リン?」
『え?』
懐かしい声に振り返ると、そこに居たのは昔から知っている友達で。
目が合うなり、パアッと満面の笑みを浮かべて「リンが帰ってきたぞー!!」と何処かに走っていってしまった。
『ちょ……!』
まともに言葉を交わさないまま走り去っていった友達に、ただ呆然と立ち尽くす事しか出来ないあたし。
あ、相変わらずだわー。
そんな事を思っていると、走り去っていった方からバタバタと複数の足音が聞こえてきた。
「リーン!!」
「久しぶりー!!」
『ぅわっ!』
瞳を輝かせながら猪の如く突進してくる友人達。
それに驚いてる暇もなく、あっという間に取り囲まれてしまった。
かと思ったら一斉に喋り始めて、凛音ちゃん大パニック。
余程言いたい事があるのか、他人に譲ろうなんて気は全くないらしい。
っていうか、自己主張激しすぎでしょ!
『分かった!分かったから落ち着けって!』
半分パニックになり始めてきた時。
「お前等、リンがパンクしかけてんぞ」
救世主様が登場した。
苦笑まじりに歩いてきたボスの姿に、皆の動きがピタリと止まる。
た、助かった~。
もうちょっと早く助けてよボス~。