Ri.Night Ⅲ
脳に、身体に、染み付いている。
脳が、身体が、勝手に反応する。
当たり前だった事があたしを苦しめる。
「リン?気分悪いのか?」
『……あ、ううん、大丈夫だよ』
顔を覗き込んできた優音と遊大が、あたしの顔を見て訝しげにそう聞いてくる。
あたし、優音達が顔を顰めるほど酷い顔をしてるの?
隠しているこの想いが顔に出てる?
『も、もー、そんな顔しないでよ!ちょっと階段から落ちそうになって焦っただけだってば!』
『先に行くからね!』と階段を駆け上がると、最終地点である一番上に貴兄が立っていた。
階段下を見下ろしている貴兄。
けど、目は合わない。
『貴兄?どうしたの?』
「……いや、何もないよ。ほら、先に行って早くアイツ等に顔見せてやれ」
『うん』
早く行けと言わんばかりに顎で促してくる貴兄に小さく頷いてそのまま通り過ぎる。