Ri.Night Ⅲ
お酒が強いのか弱いのか分かんない嵐ちゃんは、一杯飲むだけで野獣と化し、周りにいる下っ端くんを襲っていて。
中にはパンツ一枚にされた子もいるみたいだ。
それをあたしはウハウハ……じゃなくて、ちょっと顔を赤らめて盗み見していた。
「リン、ご飯食べてる?」
友達と喋っていると、時人くんが「はい、どうぞ」とジュースを持ってきてくれて、有り難く受け取る。
『ありがと~!食べてるよ~』
「みたいだね。相変わらずいっぱい食べるね、リンは」
山盛りになっているあたしのお皿を見てクスクスと笑う時人くん。
『だってさー、取っておかないと無くなりそうじゃない?』
言い訳をするみたいだけど、これは本当の事だ。
だって、ついさっき始まったところなのにテーブルの上にある料理はもう半分しかないし。
このまま行けばきっとすぐ無くなるだろう。
あたしも全種類制覇したいさ。
取っておける物は取っとかないと。
『時人くんも早く取らないと無くなっちゃうよ?』
少ししかのっていない時人くんのお皿を見て、テーブルを指差す。
「僕はこれがあるから大丈夫だよ」
『“これ”?』
ひょいと持ち上げられたのは白いナイロン袋。
これってさっき二階から持ってきた袋だよね?
『時人くん、これ、何?』
袋を覗き込むようにして見ると、
「たらこと明太子だよ。ほら」
そう言って、反対側の手に持っていたお皿をズイッと突き出してきた。