Ri.Night Ⅲ

『た、たらこと明太子?』


確かに目の前にあるお皿にはたらこと明太子が並んでいる。


「今、僕の中でブームなんだ。リンもいる?」


『い、いる』


キラッキラな笑顔を振り撒く時人くんに思わず即答したものの、ご飯もないのにたらこと明太子を食べなければいけない事に気付いて激しく後悔した。


だからさっき「たらこと明太子どっちが好き?」って聞いたのね。


山盛りのお皿のてっぺんに乗せられたたらこと明太子を見てハハッと笑う。


っていうか、


『これ……』


「ん?」


唇に見えない?


平行に二本並んでいるたらこと明太子を見てぼんやりとそんなことを思った。



「まだまだいっぱいあるから欲しかったら言ってね?」


『あは、あはは……』


そんなにたらこと明太子ばっかり食べれんないっつーの!


ご飯があるなら未だしも、たらこと明太子だけ食べるのって結構キツイんだから。


……って、あっ。


そう言えば、確か優音って明太子好きだったよね。


『ねぇ、時人くん。優音にも明太子あげてもいい?』


「優音に?もちろんいいよー。二本?三本?なんなら五本持っていく?」


いやいやいや、そんなに食べられないでしょ。


っていうかどんだけあるんですか!?


『いや、うん。じゃあ、たらこと明太子一本ずつ貰おうかな』


ナイロン袋の中を見てみたいと思ったけど、何十本も入ってそうだったから見せて貰うのやめた。


だって、たらこと明太子が何十本も山積みにされてたらなんかグロくない?
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