Ri.Night Ⅲ
新しいお皿にたらこと明太子をのせて貰うと、喋っていた友達に『ちょっと行ってくる』と言って優音の元へと向かった。
お皿の上に乗った六本のたらこと明太子。
「二本だけだと寂しいね」と、意味の分からない理由で二本ずつ追加され、計六本、隙間なく並んでいる。
貴兄にあげればいっか、と思って何も言わずに貰っておいたけど、お皿の上にたらこと明太子だけってかなり異様だ。
グロテスク以外の何者でもない。
……うん。
余ったら嵐ちゃんと遊大の口に詰め込もう。
そう決心をして、キョロキョロと周囲を見回すんだけど、優音の姿はどこにもない。
ったく、どこに行ったんだか。
そう思っていたら、階段の裏に貴兄と慧くんがいるのを発見した。
あんな所でご飯食べてるの?
後ろから驚かせてやろうと忍び足で近付いていき、口を開く。
『た──』
「鳳皇が近付いて来てる」
慧くんが発したその一言に開いた口が再び閉じられ、サッと壁に隠れる。
今……鳳皇って言った?
「奴等は何処まで掴んでる?」
「分からない。けど、凛音ちゃんの捜索がこっちまで来ている事は確かだ」
落ち着いた二人の声。
それに反して、あたしの心拍数はどんどん上がっていく。
「多分、凛音が向こうにいる時にこっちに住んでたって言ったんだろ。ここまで来てないって事は詳しく言ってなかったって事だな」
貴兄の言葉を聞いて、ふと皆との会話を思い出した。
……確かに、言った。
隣県から来たって事を。
皆はそれを覚えてたんだろう。