Ri.Night Ⅲ
「ジッとしねぇお前が悪い」
「って言いながら笑ってんじゃん!優のドSー!!」
「男はみんなSなんだよ」
「ッギャーー!優音破廉恥!!」
「お前の頭ん中の方がよっぽど破廉恥だっつーの」
そう言った優音は、傷口に貼った絆創膏をペシンと叩いた。
「った!!」
「紛らわしいことしたお返しだ。ったく、これぐらいで泣くなよな」
呆れ顔で溜め息をついた優音は救急箱を持って立ち上がると、それを元あった場所へと戻しに行った。
そんな事言われても仕方ないじゃん。痛かったんだからさ。
でも、転けて良かったのかもしれない。
転けたお陰で泣いてたのを誤魔化せたようなもんだし。
転けてなかったら「何があったんだよ!」って問い詰められてたかもしれない。
あたし馬鹿だから、もし問い詰められてたりしたら何も弁解出来なかったと思う。
「凛音、お前もう帰るか?」
「え!?もう!?」
ドカッと隣に腰を下ろした優音を横目で見て、目の前にある置時計に目をやる。
「六時……」
微妙な時間……。
「今日はもうお開きなの?」
「みたいだな。ホントは酒飲んでねぇ奴等だけで走りに行く予定だったんだけど、肝心の遊大が潰れてちゃあな」
「え?遊大お酒飲んだの!?飲まないって言ってなかった?」
「嵐さんに飲まされたんだよ」
「あら」
遊大、嵐ちゃんの餌食になったのね……。ご愁傷様。