Ri.Night Ⅲ
浅宮財閥の御曹司である凌は、小さい頃から英才教育を受けているからあたしレベルの問題は朝飯前。
だから、分からない所は凌に聞くのが一番良い。
貴兄にも教えて貰ってたんだけど、獅鷹に出入りし始めた時から忙しそうだから教えて貰わなくなった。
まぁ、テスト前は時間を割いてまで教えてくれるけどね。
あぁ……思い出すだけで涙が。スパルタ万歳。
「また近々家に顔出すからその時教えてやるよ。それまで解るとこはやっておけよ」
「うん、分かった。頑張る」
「……今回のは提出とかねぇんだから焦らずやったらいい」
珍しく穏やかな顔で笑う凌に「そうだね…」と笑い返す。
そう。
この宿題は宿題であって宿題じゃない。
夏休みの宿題であることには変わりないんだけど、この宿題は今行ってる高校の宿題。
だから提出しなくていいんだ。
今回の件で転校する事になったあたしは、夏休みが明けたら地元の高校に行く事になった。
転校先についてはまだ詳しく聞いていない。
マンションは引き払う事になっている。
落ち着いたら引っ越しの片付けをしに行く予定だ。
「毎日少しずつしろよ?お前の脳ミソは間隔が空いたらすぐ忘れるからな」
「分かってるよ!ったく、馬鹿にしないでよね!」
「馬鹿な子ほど可愛いって言うだろ?」
「もう!凌まで二人と同じ事言わないでよ!」
クスクスと笑う凌を睨み付け、プイッと顔を背ける。