Ri.Night Ⅲ


「優、待て!曲がるな!!」


曲がる予定だった角まであと数メートルと迫ってきた時、貴兄が優音に向かって叫んだ。


その理由は直ぐに分かった。


曲がろうとしていた角。

そに数台のバイクが待機していたのだ。


「クソッ!!」


優音はバイクを見つけるなり忌々しげに舌打ちした。


フェンスの駐車場で良かったよ。あれで曲がってたら捕まってたし。


……なんて喜んでいたのも束の間。


曲がり角を通り過ぎる直前に、待機していたバイク達が一斉にライトをつけた。


どうやら敵さん達はあたし達が曲がって来ない事に気付いたらしい。




「……チッ。優!次の通りを右に行くぞ!!」


貴兄が切羽詰まった声でそう叫ぶ。


それとほぼ同時に、ライトを灯したバイク達が一斉に飛び出してきた。



「貴兄!!」


「掴まってろ!!」



間一髪の所で接触を免れたあたし達は体勢を立て直して突き進む。


けど……。



「なっ……!?」



次に曲がろうとしていた角からまたしてもバイクが飛び出してきた。


「優!!」


左に曲がるしか道はないあたし達は、前方から迫る敵から逃げるように左折した。


コイツ等、あたし達を捕まえるまで追いかけてくる気!?



「優!左から来るぞ!!」


曲がったかと思えばまた現れ、その度に逆方向へと曲がるあたし達。


「……っなんで!?」


曲がると必ず現れるバイクに、焦りよりも疑問の方が浮かぶ。

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