Ri.Night Ⅲ
「次からはこんな面倒くせぇ事しねぇで直接倉庫に乗り込んで来いよ。それとも、獅鷹全員が相手だと勝つ自信がねぇのか?」
敵の元へ歩いて行きながら敵を煽る貴兄。
優音ならまだしも、貴兄がそんな事を言うなんてよっぽどご立腹のようだ。
これはすぐに終わるかも。
そう思ったのに、ボスの男は何も返事せず、それどころか男は薄っすらと笑みを浮かべている。
この状況であの表情。
何かあるの?
そう思った時には既に遅く。
「──やれ」
男の口から飛び出した戦闘開始の言葉に、下っ端達が貴兄と優音目掛けて走っていく。
それを見たあたしは咄嗟に走り出そうとしたけど、慌ててその足を止めた。
あたしは此処で待つように言われた。だから此処で待ってなきゃいけない。
下唇をキツく噛みしめ、二人の喧嘩している姿をジッと見つめる。
相手は十数人。
貴兄と優音なら余裕だろう。
そう思っていたのに。
「なっ!?」
貴兄とやり合うだろうと思っていたボスの男が突然こっちに向かって走ってきた。