Ri.Night Ⅲ
「リン!!行くな!!」
背後から貴兄の叫声がしたけど、走り出したら止まらない。
男目掛けて更に加速する。
途中、チラッと後ろを振り返ってきた男は、目が合うなりニヤリと笑った。
あたしはそれを挑発だと受け取り、更にスピードを上げる。
細道へと入っていく男。
確かこの道はあたし達が通り抜けしようとしていた道だ。
この道の先には大通りに抜ける公園の出入口がある。
もしかして公園から出て逃げるつもり!?
絶対逃がさないんだから!!
公園の出入り口から飛び出し、左に曲がると……。
「なっ!?」
前方から吹き上がった突風に行く手を阻まれた。
咄嗟に片目を瞑り、両腕で風を遮る。
収まったと思い、腕を下ろすと。
「──凛音」
「………え?」
目の前に、此処に居る筈のない人達が居た。