Ri.Night Ⅲ


──遡ること二時間前。



- 煌 side -


「何で見つかんねぇんだよ!!」


「……陽、落ち着け。お前まだ本調子じゃねぇんだから安静にしてろ」


「もう大丈夫だって!俺も捜しに行く!!」



悔しそうに唇を噛みしめながら何度もテーブルを叩きつける陽に「はぁ…」と溜め息を零す。


ったく、全身痣だらけ絆創膏だらけの奴の何処が大丈夫なんだよ。


でもまぁ、苛立つ気持ちはよく分かるけど。








──“あの日”から、俺達は毎日の様に同じ台詞を繰り返していた。


聞き飽きた台詞。

言い飽きた台詞。


きっと、“アイツ”が見つかるまでずっと繰り返されるのだろう。


歯痒い。

歯痒くて仕方ない。


突然理由も告げずに去って行ったアイツを、何のあてもなく捜し続ける毎日。


“あの時”の俺達は何が何だか分からぬまま、ただアイツを引き止めようと必死だった。


冷静になんてなれてなかった。なれる筈がなかった。



アイツは、俺達がどれだけ引き止めてもきかなかった。




何で奴等と一緒に行かなきゃいけなかったのか。


その理由を後々冷静になって考えたけど、いくら考えてもその理由は分からなかった。



アイツが去っていった理由も、

連れていった男達の事も、


未だ謎のまま。


だから余計に苛立ってるんだ。

< 71 / 368 >

この作品をシェア

pagetop