Ri.Night Ⅲ
──遡ること二時間前。
- 煌 side -
「何で見つかんねぇんだよ!!」
「……陽、落ち着け。お前まだ本調子じゃねぇんだから安静にしてろ」
「もう大丈夫だって!俺も捜しに行く!!」
悔しそうに唇を噛みしめながら何度もテーブルを叩きつける陽に「はぁ…」と溜め息を零す。
ったく、全身痣だらけ絆創膏だらけの奴の何処が大丈夫なんだよ。
でもまぁ、苛立つ気持ちはよく分かるけど。
──“あの日”から、俺達は毎日の様に同じ台詞を繰り返していた。
聞き飽きた台詞。
言い飽きた台詞。
きっと、“アイツ”が見つかるまでずっと繰り返されるのだろう。
歯痒い。
歯痒くて仕方ない。
突然理由も告げずに去って行ったアイツを、何のあてもなく捜し続ける毎日。
“あの時”の俺達は何が何だか分からぬまま、ただアイツを引き止めようと必死だった。
冷静になんてなれてなかった。なれる筈がなかった。
アイツは、俺達がどれだけ引き止めてもきかなかった。
何で奴等と一緒に行かなきゃいけなかったのか。
その理由を後々冷静になって考えたけど、いくら考えてもその理由は分からなかった。
アイツが去っていった理由も、
連れていった男達の事も、
未だ謎のまま。
だから余計に苛立ってるんだ。