Ri.Night Ⅲ


「何で……何で凛音が居なくなるんだよ……」


泣き出しそうな声で何度も何度もそう呟く陽。


両手で顔を覆いながら俯くその姿は俺達の心を抉る。





凛音が居なくなって一番ダメージを受けているのは陽だった。


同時に、“あの日”の事を悔やんでいるのも。


自分が着いて行きながらも、簡単に捕らえられてしまった事をずっと悔んでいる。



自分がもう少し強ければやられる事はなかった。

動けなくなるまでやられる事はなかった。


そう一人で嘆いていたのを俺は知ってる。



けど、いくら強くてもあの人数を一人で相手するには無理があった。


ある意味、陽の傷の多さは凛音を捜し出そうと必死になって戦った勲章だ。



凛音を見つけたくて、

救い出したくて、


そこから抜け出そうと必死になって戦った勲章。



だから誰も陽を責めたりはしない。

責めれる訳がない。


凛音を守れなかったのは俺達全員なんだから。

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