Ri.Night Ⅲ
何故だか分からないけど、このエンジン音は俺達に関係しているような気がした。
妙な焦りを胸に抱え、直ぐ様壱達が歩いて行った方へと視線を向ける。
「アイツ等……」
どうやら呼びに行く手間が省けたようだ。
きっと二人にもあの音が聞こえたのだろう。
「十夜!!」
陽が息を切らしながら十夜を呼び、公園の外を指差す。
「音……っ!バイク!」
息が切れすぎて思う様に喋れないのか、陽はエンジン音の事を伝えようと必死になって腕を振り回している。
そうしてる間にも音はどんどん大きくなっていて、今じゃもう爆音並みの大きな音になっていた。
す直ぐ近くまで来ている。
そう思った時だった。
爆音と共に数十台のバイクが大通りを駆け抜けていった。
俺等が居る広場には見向きもせず、猛スピードで通りすぎていく。
「行くぞ」
それを見た十夜は、バイクが向かっていった方へ歩き出した。
向こうで何かある。
十夜はそう思ったんだろう。
いや、十夜だけじゃない。
俺も陽も彼方も壱も、全員そう思ったから何も言わずに十夜に着いて行くんだ。
一体これから何がある?
そんな疑問ばかりが頭に浮かぶ。
本当に凛音と関係があるのか?
あの数十台のバイクと?
気になり出したらキリがなかった。
答えは、向こうにある。
ザワザワとざわめく心が、俺には何故だか警告音のように感じた。
嫌な予感がする。
物凄く嫌な予感が。