Ri.Night Ⅲ
46.真実と哀しみと
「──凛音」
「……え?」
突風が止んだと同時に聞こえた声。
風のざわめきで耳が麻痺していたのか、あたしはその声に何の疑いも持たずに振り向いた。
「なっ……!?」
目に飛び込んできたのは、此処に居る筈のない人達。
「なん、で……」
なんで……此処に居るの?
なんで十夜逹が此処に居るの……?
なんで……っ。
突然現れた鳳皇幹部に平静を保てる筈がなく、立ち止まっていた足が勝手に後ろへと後ずさっていく。
「あ……」
本能的に理解したのかもしれない。
この状況が“ヤバい”という事を。
「凛音」
「………っ」
久しぶりに聞いた十夜の声に身体が嫌でも反応して、その場で足が止まる。
「凛音」
とお、や……。
どれだけこの声を聞きたいと願っただろう。
どれだけこの声で呼ばれたいと思っただろう。
離れてからずっとずっと頭の中で響いていた十夜の声。
「凛音」
ずっと、求め続けた十夜の声。