Ri.Night Ⅲ

ギュッと目を瞑って強くそう願う。


けど、その願いは虚しく、直ぐ真後ろまで迫っている気配によって掻き消されてしまった。



駄目だ捕まる!!


そう思った時、視界の端に道が見えて。


その道を捉えた時にはもう、足は勝手に角を曲がっていた。


路地裏らしき細道を突き進みながら、その辺にあったゴミ箱や段ボールを道を塞ぐように転がしていく。



「……っ、オイ!凛音待て!!」


「彼方!あっちから回り道しろ!」


「凛音!!」



あたしが転がしたゴミ箱や段ボールに足止めされた十夜達が、苛立った声色で口々に叫ぶ。


それを背に、あたしは全速力で路地を走った。


だけど、路地裏を抜けきった時にはもう息も絶え絶えになっていて、もう駄目だ、と思った。


けど、此処で立ち止まる訳にはいかない。



“彼方!あっちから回り道しろ!!”



さっき、煌がそう言ってるのが聞こえたから。



此処に居たら回り道してきた彼方にも、そして後ろから追いかけて来る四人にも捕まってしまう。


どうしたら……。


どんなに頭を働かせても、激しく乱れる息とグチャグチャに混乱している頭では正常な判断は出来なかった。


この激しい動悸は全速力で走ったせいなのか。


それとも突然現れた十夜達のせいなのか。


もう、それさえも分からない。

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