Ri.Night Ⅲ
「十夜!!」
あたしの腕を強く握って一歩前を歩いていく十夜を、後ろから叫んで呼び止める。
けど、十夜は振り返ろうともせず、あたしの言葉を無視して進み続ける。
「十夜!待って!!」
無理矢理引っ張っていく十夜に何度も何度も呼び掛けるけど止まってくれない。
どうしよう。
このままじゃホントに連れて行かれてしまう。
そうなったら……。
「十夜!!待ってってば!!」
何とかして引き止めようと足に思いっきり重心をかけたけど、立ち止まったのはほんの一瞬だけで。
抵抗も虚しく、その後さらに強い力で引っ張られた。
「十夜!!」
どうしよう。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
力じゃ十夜には勝てない。勝てる訳がない。
呼び掛けても応えて貰えないし、一体どうしたら……。
そう思った時だった。
「そいつを離して貰おうか」
背後から聞こえた聞き慣れた声に、あたしは肩越しに振り返った。
「……っ、」
鳳皇幹部の背後に居たのは、貴兄。