まさかの婚活
まさかの結婚 1
蓮と二人っきりで夢のようなゴールデンウィークを過ごして休み明け出社すると
「おはようございます」
花の二十三歳コンビに笑顔で挨拶された。
「おはようございます」
私も笑顔で挨拶する。
「先輩、何かいいことでもあったんですか? いつもと感じが違うような気がするんですけど……」
もう一人も頷いて興味津々という顔で見ている。
「そう? 実はね。宝くじが当たったの。みんなには内緒よ。な~んて冗談よ」
言いながら……。宝くじで十億円当たるよりもずっとずっと素敵なこと。十億か……。当たったら、それはそれで嬉しいだろうけど……。
蓮と出会えたことが私にとって最高の幸せなんだと思っていた。幸せ過ぎて怖いくらいに……。
さあ、仕事だ。人間は切り替えが大切。
新しい企画を考えなければならない。次の編集会議までに……。何か斬新なアイデアでも浮かばないかなぁ……。
その時、蓮のお母さまの顔が浮かんだ。
蓮と私の気持ちが決まっていても、結婚って二人だけの問題じゃない。もう大人なんだから親に反対されたからって結婚出来ない訳じゃない。でも法律で認められても大切な家族に認めてもらえないのは辛い。
ダメだ。気分転換に出掛けて来よう。
「編集長、可知先生のところに行って来ます」
「は~い。了解。よろしく頼むよ」
芋羊羹を買って可知先生のお宅。いつものように「こんにちは」と入って行く。
するとサヨおばあちゃんが出て来て
「いらっしゃい。先生はさっきお散歩に出掛けたのよ。もう戻って来ると思うから。さあ上がって」
「はい。おじゃまします」
美味しい緑茶を出してくれてサヨさんと先生を待ちながら楽しくおしゃべり。
「碧ちゃん、何かあったの?」
「えっ? どうしてですか?」
「う~ん。なんとなくね。楽しそうだし幸せそうに見えるけど……。悩みでもあるのなら相談に乗るわよ」
「サヨさんには敵いませんね。あのう、聞いてもいいですか?」
「なあに? 難しいことは分からないけど……。私に出来ることなら何でも……」
「サヨさん、たしか息子さんがおられましたよね」
「いるわよ。息子が二人。孫が五人ね」
笑顔が優しい素敵なおばあちゃまなんだろうなと思った。
「息子さんのお嫁さんとは仲良しですか?」
「ええ。おかげさまでね。そうそう長男の嫁は緑っていうの。字は違うけど、なんだか碧ちゃんは他人のような気がしないのよ」
「ありがとうございます。あのう、初めてお嫁さんに会って、すぐに仲良くなれましたか?」
「そうね。母親の性格にも依るかもしれないけど……。息子ってね、母親にとって半分は恋人みたいなものだからね。私の息子が選んだ人だから大好きになれる人と、私の息子が何でこんな人を選ぶのかって認められない人がいるんだと思うわ」
「そうなんですか……」
「碧ちゃん、あなたは編集者としても一人の女性としても、みんなに愛される人だと思うわよ。変に自分を飾らないで、ありのままの碧ちゃんで接していけば、きっと分かってもらえると思うわ」
「サヨさん……。ありがとうございます」
やっぱり人生の先輩は素晴らしい。サヨおばあちゃんのアドバイスは心に響くものだった。
「おはようございます」
花の二十三歳コンビに笑顔で挨拶された。
「おはようございます」
私も笑顔で挨拶する。
「先輩、何かいいことでもあったんですか? いつもと感じが違うような気がするんですけど……」
もう一人も頷いて興味津々という顔で見ている。
「そう? 実はね。宝くじが当たったの。みんなには内緒よ。な~んて冗談よ」
言いながら……。宝くじで十億円当たるよりもずっとずっと素敵なこと。十億か……。当たったら、それはそれで嬉しいだろうけど……。
蓮と出会えたことが私にとって最高の幸せなんだと思っていた。幸せ過ぎて怖いくらいに……。
さあ、仕事だ。人間は切り替えが大切。
新しい企画を考えなければならない。次の編集会議までに……。何か斬新なアイデアでも浮かばないかなぁ……。
その時、蓮のお母さまの顔が浮かんだ。
蓮と私の気持ちが決まっていても、結婚って二人だけの問題じゃない。もう大人なんだから親に反対されたからって結婚出来ない訳じゃない。でも法律で認められても大切な家族に認めてもらえないのは辛い。
ダメだ。気分転換に出掛けて来よう。
「編集長、可知先生のところに行って来ます」
「は~い。了解。よろしく頼むよ」
芋羊羹を買って可知先生のお宅。いつものように「こんにちは」と入って行く。
するとサヨおばあちゃんが出て来て
「いらっしゃい。先生はさっきお散歩に出掛けたのよ。もう戻って来ると思うから。さあ上がって」
「はい。おじゃまします」
美味しい緑茶を出してくれてサヨさんと先生を待ちながら楽しくおしゃべり。
「碧ちゃん、何かあったの?」
「えっ? どうしてですか?」
「う~ん。なんとなくね。楽しそうだし幸せそうに見えるけど……。悩みでもあるのなら相談に乗るわよ」
「サヨさんには敵いませんね。あのう、聞いてもいいですか?」
「なあに? 難しいことは分からないけど……。私に出来ることなら何でも……」
「サヨさん、たしか息子さんがおられましたよね」
「いるわよ。息子が二人。孫が五人ね」
笑顔が優しい素敵なおばあちゃまなんだろうなと思った。
「息子さんのお嫁さんとは仲良しですか?」
「ええ。おかげさまでね。そうそう長男の嫁は緑っていうの。字は違うけど、なんだか碧ちゃんは他人のような気がしないのよ」
「ありがとうございます。あのう、初めてお嫁さんに会って、すぐに仲良くなれましたか?」
「そうね。母親の性格にも依るかもしれないけど……。息子ってね、母親にとって半分は恋人みたいなものだからね。私の息子が選んだ人だから大好きになれる人と、私の息子が何でこんな人を選ぶのかって認められない人がいるんだと思うわ」
「そうなんですか……」
「碧ちゃん、あなたは編集者としても一人の女性としても、みんなに愛される人だと思うわよ。変に自分を飾らないで、ありのままの碧ちゃんで接していけば、きっと分かってもらえると思うわ」
「サヨさん……。ありがとうございます」
やっぱり人生の先輩は素晴らしい。サヨおばあちゃんのアドバイスは心に響くものだった。