まさかの婚活
まさかの御曹司 4
美味しいカルボナーラとサラダの夕食を終えて
「ごちそうさまでした」
「さぁ、後片付けして、冷え込んでくる前に暖炉に薪を焼べないと寒くて凍えちゃうよ」
そう言って蓮は笑う。
こんな大きな別荘で凍えたら大変だ。明日の朝のニュースになんてなりたくない。
「お皿は私が洗うから」
「いいの? じゃあ、頼んだよ。僕はリビングを暖めてくるから」
食器をきれいに洗って拭いて食器棚に片付けて調理器具もきれいにして片付けた。
リビングに行くと蓮は、もう暖炉に火を焼べていた。
「もう火が付いたの? 蓮、すごいね。何でも出来るのね」
「ボーイスカウトに子供の頃、入ってたからね。こういうのは得意なんだよ」
意外だったな。蓮には都会の子っていうイメージしかなかった。
「暖炉の火の色って、他の火と暖かさが違うような気がするね」
「うん。碧もこっちへおいでよ」
暖炉の前、ラグが敷かれている場所に蓮は座っている。私も蓮の隣に座った。
初めてここに居るのに、とても落ち着ける空間。何でだろう。蓮が居るから?
この広い別荘に蓮と二人だけ……。私たちだけが取り残されているような心細さは、どうしてだろう。
ふと見上げると大きな天窓から星が見える。
「星がきれいね」
「うん。あの天窓は子供の頃からお気に入りなんだ」
きらめく星たちが降ってくるように感じられる。それだけ空気が澄んでいるんだろう。自然の中に溶け込んでいくような気さえする。
蓮と私は暖かな暖炉の前で、揺れる炎を見つめながら二人しばらく黙っていた。
沈黙が怖かった訳じゃない。でもなんとなく話してみたくなった。
「私ね。小説家になりたかったの」
「へえぇ。碧は小説家志望だったんだ」
「うん。高校の頃から書いては出版社に送ってた。母が高校で国語の教師をしてたから小学生の頃から国語だけは絶対に誰にも負けたくないって思ってた。本もたくさん読んだ。家にはたくさんあったから。読んでるうちに自分でも書いてみたくなって高校生になると小説ばかり書いていたの。それで大学は文学部を選んだ。仙台にも良い大学はあるって反対する両親を説得して東京に一人で来たの」
「そうだったんだ」
「でも大学には私なんかより、すごい学生がいくらでも居た。それで諦めたの。それでも小説には関わっていたかったから今の出版社に入った。文芸部門じゃなくて美容雑誌に配属されたけどね」
「それで、僕に出会ったんだ」
「うん。そうね。でもね、いつかまた書きたいって思ってる。一度は諦めたけど、まだまだ人生は長いのよね。いつか自分でも納得出来るものが書けるかもしれない。そう思ってるの。可笑しい?」
「そんなことないよ。碧なら、いつか出来るよ。そういう真っ直ぐな気持ちを持ってるから僕は碧が好きなんだと思う」
「蓮……」
蓮が真っ直ぐ私を見詰めてる。
「あぁ、碧、今のうちにシャワー浴びておいでよ。脱衣所が冷え込む前に」
「あぁ、うん。そうする」
部屋に戻って着替えを持って。化粧品やシャンプーもさっき買っておいたから。
鏡に映った私の顔。緊張してる? 自分自身に聞いてみる。何でこんなにドキドキしてるの? 半年も一緒に居て、こんなにドキドキなんて一度もしたことなかったのに……。
熱いシャワーを浴びて髪もしっかり乾かして、スッキリしてバスルームから出ると
「さっぱりした? じゃあ僕も入ってこようかな。あっ着替え」
そう言って部屋に入って着替えを持って出て来た。
「そうだ。退屈だろう? テレビでも見てて。チャンネルは、ちょっと違うけどね。はい、リモコン」
渡されたリモコンでテレビのチャンネルを替える。この時間は何を見てたっけ? 最近ドラマはハマッテルのないし。クイズ番組? バラエティ? そんな感じかな。なんとなくテレビを眺めて過ごす。
すると蓮がシャワーを終えて出て来た。
「気持ち良かった~。何か面白い番組あった?」
「う~ん、どうかな?」
ソファーに座ってた私の隣りに蓮は座った。
「そういえば碧、髪、少し伸びたね。今度、切ってあげるからね。あぁ明日、切ろうか?」
「えっ? 道具、持ってるの?」
「あっそうだ。ないよ。キッチンバサミとかじゃあダメ?」
「ええっ? そんなんで切れるの?」
「う~ん、ちょっと痛いかも」
って笑ってる。
「もう、いくらカリスマでも道具は選んでよね」
そう言って蓮の顔を見た。蓮は私の髪に触れながら
「碧、愛してるよ」
蓮が私を見詰めてる。そのままキスされた。昼間のキスとは違う。何度も何度も唇が触れ合う。そのまま蓮の胸に抱きしめられた。
「碧、何があっても結婚しよう。してくれるよね」
そっと腕を解いて真っ直ぐ見詰められながら
「二人で幸せになろう。後悔はさせないから」
「蓮の方こそ私なんかと結婚して後悔しない?」
「絶対しないよ。する訳ないだろう。この先、碧のいない人生なんて考えられない」
私は蓮の瞳に吸い込まれそうになりながら頷いていた。自分でも不思議だったけど……。
蓮は本当に嬉しそうに、もう一度、私を抱きしめて
「ありがとう。碧、良かった。嬉しいよ」
その後はテレビを見ながら笑ったり、お互いの子供の頃の話をしたりして、時間は、あっという間に過ぎていった。
「あぁ、もうこんな時間。碧、もう部屋で休んだら? 疲れただろう」
「ううん。そんなことないけど……。でも、もう遅いし休ませてもらおうかな。じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」
本当は、もう少し蓮と一緒に居たかったけど……。
「ごちそうさまでした」
「さぁ、後片付けして、冷え込んでくる前に暖炉に薪を焼べないと寒くて凍えちゃうよ」
そう言って蓮は笑う。
こんな大きな別荘で凍えたら大変だ。明日の朝のニュースになんてなりたくない。
「お皿は私が洗うから」
「いいの? じゃあ、頼んだよ。僕はリビングを暖めてくるから」
食器をきれいに洗って拭いて食器棚に片付けて調理器具もきれいにして片付けた。
リビングに行くと蓮は、もう暖炉に火を焼べていた。
「もう火が付いたの? 蓮、すごいね。何でも出来るのね」
「ボーイスカウトに子供の頃、入ってたからね。こういうのは得意なんだよ」
意外だったな。蓮には都会の子っていうイメージしかなかった。
「暖炉の火の色って、他の火と暖かさが違うような気がするね」
「うん。碧もこっちへおいでよ」
暖炉の前、ラグが敷かれている場所に蓮は座っている。私も蓮の隣に座った。
初めてここに居るのに、とても落ち着ける空間。何でだろう。蓮が居るから?
この広い別荘に蓮と二人だけ……。私たちだけが取り残されているような心細さは、どうしてだろう。
ふと見上げると大きな天窓から星が見える。
「星がきれいね」
「うん。あの天窓は子供の頃からお気に入りなんだ」
きらめく星たちが降ってくるように感じられる。それだけ空気が澄んでいるんだろう。自然の中に溶け込んでいくような気さえする。
蓮と私は暖かな暖炉の前で、揺れる炎を見つめながら二人しばらく黙っていた。
沈黙が怖かった訳じゃない。でもなんとなく話してみたくなった。
「私ね。小説家になりたかったの」
「へえぇ。碧は小説家志望だったんだ」
「うん。高校の頃から書いては出版社に送ってた。母が高校で国語の教師をしてたから小学生の頃から国語だけは絶対に誰にも負けたくないって思ってた。本もたくさん読んだ。家にはたくさんあったから。読んでるうちに自分でも書いてみたくなって高校生になると小説ばかり書いていたの。それで大学は文学部を選んだ。仙台にも良い大学はあるって反対する両親を説得して東京に一人で来たの」
「そうだったんだ」
「でも大学には私なんかより、すごい学生がいくらでも居た。それで諦めたの。それでも小説には関わっていたかったから今の出版社に入った。文芸部門じゃなくて美容雑誌に配属されたけどね」
「それで、僕に出会ったんだ」
「うん。そうね。でもね、いつかまた書きたいって思ってる。一度は諦めたけど、まだまだ人生は長いのよね。いつか自分でも納得出来るものが書けるかもしれない。そう思ってるの。可笑しい?」
「そんなことないよ。碧なら、いつか出来るよ。そういう真っ直ぐな気持ちを持ってるから僕は碧が好きなんだと思う」
「蓮……」
蓮が真っ直ぐ私を見詰めてる。
「あぁ、碧、今のうちにシャワー浴びておいでよ。脱衣所が冷え込む前に」
「あぁ、うん。そうする」
部屋に戻って着替えを持って。化粧品やシャンプーもさっき買っておいたから。
鏡に映った私の顔。緊張してる? 自分自身に聞いてみる。何でこんなにドキドキしてるの? 半年も一緒に居て、こんなにドキドキなんて一度もしたことなかったのに……。
熱いシャワーを浴びて髪もしっかり乾かして、スッキリしてバスルームから出ると
「さっぱりした? じゃあ僕も入ってこようかな。あっ着替え」
そう言って部屋に入って着替えを持って出て来た。
「そうだ。退屈だろう? テレビでも見てて。チャンネルは、ちょっと違うけどね。はい、リモコン」
渡されたリモコンでテレビのチャンネルを替える。この時間は何を見てたっけ? 最近ドラマはハマッテルのないし。クイズ番組? バラエティ? そんな感じかな。なんとなくテレビを眺めて過ごす。
すると蓮がシャワーを終えて出て来た。
「気持ち良かった~。何か面白い番組あった?」
「う~ん、どうかな?」
ソファーに座ってた私の隣りに蓮は座った。
「そういえば碧、髪、少し伸びたね。今度、切ってあげるからね。あぁ明日、切ろうか?」
「えっ? 道具、持ってるの?」
「あっそうだ。ないよ。キッチンバサミとかじゃあダメ?」
「ええっ? そんなんで切れるの?」
「う~ん、ちょっと痛いかも」
って笑ってる。
「もう、いくらカリスマでも道具は選んでよね」
そう言って蓮の顔を見た。蓮は私の髪に触れながら
「碧、愛してるよ」
蓮が私を見詰めてる。そのままキスされた。昼間のキスとは違う。何度も何度も唇が触れ合う。そのまま蓮の胸に抱きしめられた。
「碧、何があっても結婚しよう。してくれるよね」
そっと腕を解いて真っ直ぐ見詰められながら
「二人で幸せになろう。後悔はさせないから」
「蓮の方こそ私なんかと結婚して後悔しない?」
「絶対しないよ。する訳ないだろう。この先、碧のいない人生なんて考えられない」
私は蓮の瞳に吸い込まれそうになりながら頷いていた。自分でも不思議だったけど……。
蓮は本当に嬉しそうに、もう一度、私を抱きしめて
「ありがとう。碧、良かった。嬉しいよ」
その後はテレビを見ながら笑ったり、お互いの子供の頃の話をしたりして、時間は、あっという間に過ぎていった。
「あぁ、もうこんな時間。碧、もう部屋で休んだら? 疲れただろう」
「ううん。そんなことないけど……。でも、もう遅いし休ませてもらおうかな。じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」
本当は、もう少し蓮と一緒に居たかったけど……。