レンタルな関係。【番外編】

 口の周りにクリームをいっぱい付けながら。

 満足そうな祐二は、

 急になにかを思い出したみたいにして、再び紙袋に手を突っ込んだ。


「じゃ~~んっ」


 と、取り出したのは、


「目覚まし時計?」

「うん、目覚まし時計」

「壊れたから?」

「うん。正確には麻紀が壊したから」

「あはは…」


 笑いながら、「ん?」と気づく。


「祐二」

「ん?」

「それ、壊れたのと同じヤツだよね?」


 見たところ、全く同じだ。

 色も形も。


「うん。同じ」

「壊れたヤツってさ、」

「うん?」

「パチンコの景品、だったよね?」

「うん。…あ」

「あんたまさか…」

「あああああ……麻紀、ごめんっ!」


 空いた口がふさがらない。


「またやってきたの? 今日」

「ちょっとだよ、ちょっと。今日も勝ったからさ、問題ナッシング~~」

「誰のマネしてんのよ」

「あれ? 知らない?」

「知ってるわよっ」


 あ、マズイ。

 あたし、また、怒ってる。

 こ、ここはひとまず我慢して…


「なんであんたは…」

「ごめんごめん。気分転換みたいなもんなんだよ。ごめん」

「気分転換?」

「うん。仕事やってくるだろ? まあ、その、色々あったあとの気分転換っていうかさ」

「気分転換…」




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