レンタルな関係。【番外編】
部屋の中は、すっかり冷えている。
ソファに座ってTVなんかを見てるうちに、洗い上がりの音が聞こえてきた。
ごっそり取り出して運ぶ洗濯物。
「ああ、そういうことか」
オンナ物の下着を別にして洗う理由。
ピンクのブラジャーの肩ひもは、俺のTシャツにしっかり絡み付いていた。
微妙にカップが変形している。
「やべぇ」
絡まったひもを外して、とりあえず肩にかけた。
水玉模様のパンツは、部屋に運ぶ途中でぽろりと落ちたらしい。
バスルームの前でちっこく丸まっている。
「……」
何やってんだ俺は。
バスタオル一丁で肩にブラジャーかけて、パンツ拾いとは。
カーテンレールの端にピンチ付きハンガーがかけられている。
適当に皺を伸ばしたTシャツとボクサーパンツをぶらさげて、
ジーンズは形を整えてからソファの背に広げた。
「どう干すんだ、これ」
手始めにキャミソールを広げてみる。
まあ、肩ひもあたりを引っ掛ければいいんだろ。
ん?
ひもが伸びるか?
まあ、かまわねぇ。
丸まった水玉パンツを広げ。
「ふ」
それをピンチにはさんでる自分に何故か笑いが漏れる。
誰も見てねぇだろーな。
気持ちわりぃだろ、俺。
ベランダから下を覗くとチャリに乗ったオバチャンが通り過ぎていくところだった。
安心していると、道端へ出てきた若い男がこちらを見上げた。
下の住人だろうか。
やや首をかしげている。
いつもとは違う男がいることが不思議なのか。
いや、そこじゃねぇか。その表情は。
この格好か。
それともこのちっこいパンツか。
あんまり見んじゃねーぞ。