レンタルな関係。【番外編】

「…なんだよ、どうした?」


 聞けば。


『だ、誰かにつけられてて…どうしよう…』


 つけられてる?


「つけられてるってお前、今どこ歩いてんだ、こんな時間に」

『コンビニに行って…その帰りで…アパートに戻る途中なんだけど…』


 ……。


 お前はどんだけコンビニ好きなんだ?

 さっきも腹減らしてコンビニ行ったばっかりだろ。

 どんだけ食うんだよ、お前。


 俺を変質者に間違えたさっきの出来事で懲りたんじゃねぇのか?

 何回同じことやってんだよ。

 本気でバカか?


「バカかお前は」


 思わず素直な言葉が口をつく。

 しかし。

 この切羽詰まった感は…

 確かに誰かにつけられてるんだろう。
 
 
「公園まで歩いたか」

『え?』

「公園だよ―――」


 会話の間、アイツの声は終始落ち着きなく。


「わき道に入ったら全力で走れ。いいか、入ってからだぞ? その場所から走ったらすぐに追いつかれちまうからな。お前、足遅そうだし」


 笑ってみせて。

 こっちが不安な声を出したら、あのオンナのことだ、パニくるだろう。


「電話は切るな」


 とりあえずの指示を出して。


 伝票をつかんだ俺は、

 会計もそこそこに店を飛び出していた。



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