レンタルな関係。【番外編】
流れで。
要くんとのことも、話した。
涙が自然に零れ落ちてきて。
鼻声になってしまう。
思い出して振り返るほど、
涙と一緒に、
楽しかった日々も溢れ出してくる。
それでも、
こうして聞いてもらうと、次第に落ち着いてきて。
零れるままだった涙は、
夕方の風に乾かされて、ゆっくりと引いていった。
電話の向こうの流川は、
ずっと黙って聞いていたけれど。
『とにかく…いろいろ頑張ったな』
最後に、ぽつり。
言ってくれた。
旅行の話をすると。
勝手にいろいろ決めていた私に、やっぱり呆れていたけれど。
『じゃあ明日、帰りにメシでも食うか』
なぜかご飯に誘ってくれて。
「うん」
私の胸は。
夏のなごりを残した風のように、
ちょっとだけ温かかった。