レンタルな関係。【番外編】
5.唯衣編「サヨナラとアリガトウ」
要くんのアパートの近くにある小さな公園。
夏の気配が消えて、葉っぱの色が黄色く色づくころ、
私と要くんは2人でこの公園に来ていた。
「もう秋になるんだね」
「そうだな、なんか、早いな」
「うん。早いね」
ホント、あっと言う間。
この夏休みが……というよりも、
要くんと出会ってから、今までの日々が。
掲示板の前で要くんに声をかけられてから、もう8ヶ月以上が経とうとしてるんだ。
「どう? そっちは?」
2人で腰掛けるベンチで、要くんが少し遠慮がちに聞いてきた。
「うん、まあまあ」
「まあまあ?」
「うん」
流川とのこと、なんて言ったらいいのか分からなくて。
私は教習所通いで忙しいし、
流川もなんだかんだと忙しくしていて。
特に……進展はないんだよね。