レンタルな関係。【番外編】

「唯衣と付き合って、俺もいろいろ勉強できたよ」

「……ホントに?」

「うん」

「迷惑ばっかりかけてたと思うけど……」

「いや、まあ、そう感じる時もあったけど、楽しかったことのほうが多いし」

「……私も、要くんにいっぱい色んなものもらった」

「無駄な時間なんてないんだよな」

「……うん」

「ありがとな」

「こっちこそ、ありがとう」


 私たちは笑って。

 握手を交わした。


 要くんの手はあったかくて、

 少し、涙がこぼれそうになった。


 空に星がちらちらと現れるころ、

 私たちの会話には、流川とマナミさんのことも混じってきてて。

 過去じゃない、

 ちゃんと、今のことを、お互いに語り合った。


 過去の話は切なくて、けれどあったかくて。

 でも、今の話も、可笑しくてほろ苦い。


 冗談混じりでマナミさんのことを話す要くんの横顔は優しかった。

 きっと、流川のことを話してる私の顔も、唇を尖らせながらも、同じように優しかったと思う。


 新しい恋は、確かに始まってるんだ。


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