レンタルな関係。【番外編】
1.カエル編「もらわれ先」
『328番台、スタートしました』
ザラザラザラザラ……
ピコピコピコピコ……
『リーチ!!』
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ものすごい騒音のなか、
今日も同じ一日。
まったく。
ここにいる連中は、他にやることないのか?
(あのジイチャン、昨日も来てたなぁ)
今日もニンマリ顔。
ツイてる時って、とことんツイてるんだよな。
「孫にな、持って帰るんじゃ」
と言って、
オレのとなりの黄色いクマのぬいぐるみを持ち帰った昨日。
今日もなにか取っていく様子。
(あ、こっち来た)
オレか?
今日こそオレか?
「その、カエル…」
(おおっ?!)
「…のとなりの、口がバッテンになってるウサギ、もらってくかな」
「こちらですね?」
「んあ」
(…ふん)
今日も新入りに先をこされ。
オレは棚の隅っこ、いつもの定位置で、
デカいウサギを抱えてドアを出るジイサンを見送った。