レンタルな関係。【番外編】
車に揺られて。
たどり着いた先。
「おかえり~…って、何それ?」
開いた扉の向こう。
(おおっ。若いオネエチャン!)
と、喜んだのもつかの間。
「ちょっとぉ、こんなにデカいカエルどこに置くの? あたしの部屋、また狭くするつもり?」
「いや、ウケルかと思ってさ、麻紀に」
「アタシが? 何に? デカさに? 手足が長いってことに? ミドリってことに? アンタが抱いてるってことに?」
「なんだよー。せっかくとってきてやったのにー」
「いや、カワイイけどさ。アンタもわかってるでしょ、あたしの部屋が狭いってこと」
(………)
どうやらオレは、
間違って引き取られたらしい。
「あ、そうだ! 唯衣! もうすぐ誕生日だ。あの子ならぬいぐるみ好きだし、たぶん喜ぶよ」
「唯衣?」
「うん、アタシの友達。唯衣ならきっと大事にしてくれる。そのカエルも、ここにいるよりずっといいって」
「ふ~ん。まあ、麻紀の友達ならいっか。でもなぁ、せっかく麻紀にとってきてやったのになぁ」
「あんたね、パチンコばっかりやってんじゃないわよ。大体ね――」
玄関先でケンカが始まって。
(………)
パチンコ屋の騒音なみだ、こりゃ。
(オレの安息の地はどこだ…?)
部屋の中に入っても続く、オネエチャンのぎゃあぎゃあ声。
オレは笑いながら。
…そういう顔だから。
オネエチャンに怒られたり蹴られたり引っかかれたりする男の姿を眺めて。
(はぁぁ…)
声にならないため息をついた。