レンタルな関係。【番外編】
のちのち、男の名前が流川だということがわかった。
今のところ、
どこかに飛ばされることもなく、ここで生活してる。
唯衣と流川と。
「カエル~ただいま~」
唯衣はいちいちオレに話しかけてきて。
たまに、ぎゅうっと抱きしめてくる。
まれに、ボコボコ叩いてくる。
ちと、痛い。
「痛がってるぞ、カエル」
流川は。
何だか知らないがオレの代弁が上手い。
「う~ん、やっぱり無いなぁ…ネックレス。お気に入りだったのに」
毎日のように探し物をする唯衣に。
「あのTシャツ、早いとこ復刻しねぇかな」
ぼそり。
眠りこける唯衣のそばで一回だけつぶやいた流川。
(ふふん。オレの出番か)
何たって、オレはカエルだ。
返る……ってな。
「わっ…わわわっ! 出てきた! なんで?!」
叫ぶ唯衣の数日後。
「こんなに早く復刻するとはな…フフフ…」
Tシャツを眺め、ひっそり喜ぶ流川。
名前は何故か「カエル」のままだけど。
幸せだ。
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◆スピンオフ
1.カエル編「もらわれ先」了
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