レンタルな関係。【番外編】

 お客様の名前を帳簿でチェックして。


「え~と。早坂麻紀さん、吉沢唯衣さん、佐竹祐二さん、流川直人さん…っと」


 インプット完了。

 お客様の名前はちゃんと覚えておかないとね。



「おかえりなさい」


 4人のお客様とカエルさんが帰ってきて、出迎えると、

 陽気な男の人と目があって。


(ま、マズイ…)


 焦ってちらりと麻紀さんのほうをみると、

 流川さんの身長で死角になっていて。


 ふう…良かった。

 またここで大騒ぎになったら大変。



 お部屋の前まで案内して、一応確認することに。


「あの……お客様とお客様、」


 麻紀さんと、祐二さん、


「お客様とお客様、で宜しかったでしょうか」


 流川さんと、唯衣さん、あと、カエルさん。


 …で、大丈夫ですよね?



「なんで?! 麻紀と私じゃないの?!」
 

 大声をあげた唯衣さん。


 ええええ…

 間違えちゃった?


「だっ、でもっ! アパートと旅館の差って、おっきいでしょ?!」

「たいして変わんないって」

「変わるって!」


 なんだか、意味不明の会話が続いていて。

 おろおろするしかなくって。


(どうしよぉ…青山さ~ん…)


 困っていると。


「じゃ、俺とコイツで。部屋、どっち?」


 流川さんの助けが入った。


「あ、ああ、お二人はこちらです」


 カッコいいなぁ…

 さっきも麻紀さんの引き剥がしに貢献してくれたもんなぁ。



「ぎゃ、ば、ちょ、ちょっと」

「じたばたすんな」

「だ、ちょ、まっ、て」

「意味不明だ、その言葉」

「ま、麻紀! 助けてぇ!」



 ………。


 引きずられるようにして、絶叫しながら入っていく唯衣さん。


 う~ん。

 お付き合いしてるんじゃないのかな?

 
 いろんなカップルがいるんだなぁ。

 

< 50 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop