レンタルな関係。【番外編】
最後のデザートを運んで。
流川さんと唯衣さんのお部屋にお布団を敷いてきたことを報告。
意識しすぎちゃって、顔が赤くなっちゃったけど。
「ありがとう」
流川さんの言葉。
うれしいなぁ。
こうやってお礼言ってくれるお客様って。
しばらくしてから後片付けに麻紀さんたちのお部屋に向かうと。
「うぇぇ…ひっく…ぐぉぉ…」
畳の上に大の字になって眠ってしまってる麻紀さん。
ゆ、浴衣が…
意味なくなってる…
帯だけ腰に巻きつけたみたいになっちゃってるよぉ…
「あははは。気にしなくていいからね。仲居さん、ちょっと飲んでいかない? 麻紀、こんなだし」
「い、いえ、それはダメですっ」
私に向けられた祐二さんの言葉に、
「ぐぉりゃ~! このドスケベ~!」
眠ったまま上がる、麻紀さんの足。
「ぐぇぇっ」
もがく祐二さん。
「……あの…ここ片付けたらお布団敷きますので…」
タイプは違うけど、
祐二さん麻紀さんカップルも、流川さん唯衣さんカップルも。
ボケツッコミの役割、ちゃんと出来てるなぁ。
楽しそう。
お膳を片付けて、お布団を敷いて。
その他のお客様の部屋とか、
残った自分の分のお仕事を片付けて。
仲居室に集まって明日の申し送りを済ませて、挨拶をして。
自分の部屋に戻ると、もう23時。
「ふう。今日も疲れたぁ」
いつものようにベッドにどさっと倒れこんだ私は、
ぼんやりとさっきのことを思い出していた。