レンタルな関係。【番外編】

「元気かなぁ」


 ベッドに寝転がりながら、手にした携帯。

 先輩のアドレスを眺めながら、小さくため息。


 あれからもう、二年も経つんだもん。

 アドレスだって、変えちゃってるよね。


 卒業式の日、帰りに部室に顔を出してくれた先輩。

 半分泣きそうになっていた私の顔を見ながら、優しく微笑んでくれて。


「泣くなよ?」


 私の肩をぽんっと叩いてから、部室を出て行った先輩の背中を思わず追いかけて。

 必死に聞き出したアドレスなのに。


「あ~あ。私ってホントに意気地なし」


 でももう二年も前のこと。

 いまさら先輩のことを思い出すなんて…


 もうっ。

 流川さんたちのバカっ。


「あ。いけない、いけない」


 お客様をバカだなんて。

 青山さんに叱られちゃう。


「よしっ。お風呂に入ってこよっと」


 明日も早朝からお仕事。


 恋、なんて考えてる暇なんてないんだもんね。



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