レンタルな関係。【番外編】
次の日の朝。
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
チェックアウトする唯衣さんたちを見送る私。
「仲居さん、いろいろびっくりさせちゃってごめんね」
あへへ、と頭をぽりぽりかきながら唯衣さん。
「いえっ! 私のほうが勝手に見ちゃったんです! ホントにすみませんっ」
謝ると。
「でもっ! 流川と私はなんでもないからねっ。なななんか、変なふうに見えたかもしれないけどっ」
なぜかムキになって大声を上げる唯衣さんの隣りで、
カエルさんを肩にのせた流川さんはあきれ顔。
なんでもないのかぁ。
結構お似合いだと思うんだけどなぁ。
祐二さんは最後まで私にひらひらと手を振りながら笑顔で。
麻紀さんはそんな祐二さんの首を絞めながらも二日酔いっぽい顔で。
流川さんからカエルさんを受け取って助手席に乗り込んだ唯衣さんは、
カエルさんごと身を乗り出して私にぶんぶん手を振っている。
そんな唯衣さんの肩をひっぱって、無理やり中に戻した流川さんを乗せた車は、
最後までにぎやかに坂を下っていった。
「いいなぁ」
私はそんな4人に手を振りながら、
車が見えなくなるまで見送った。