レンタルな関係。【番外編】
約束の日。
待ち合わせ場所は私と先輩が卒業した高校の校門前。
30分も前に着いちゃった…
先輩は大学の夏休みでこっちに戻ってきていて。
分かりやすい場所と言ったら…この田舎町では高校前くらいしかなくて。
「なつかしいなぁ」
そういえばこうして、
この校門の前で、
登下校する先輩をこっそり待ってたこともあったなぁ。
待ってる、というか、陰から見てる…って感じだったけど。
なつかしさと緊張に胸が締め付けられそうになりながら。
「ふう…」
深く、息を吐き出したとき。
「本条?」
「へ?」
顔を上げると。
「あ」
先輩…
「ひさしぶり。全然変わってないな」
木漏れ日を受けながら、微笑む先輩の姿が目の前にあって。
「お、おひさしぶりですっ」
声が裏返る。
先輩も全然…ううん、ちょっと変わったかな。
メガネの奥の優しい瞳は全然変わってないけど、
前よりもスリムになって、
前よりも少し背が高くなって、
前よりも…
カッコよく見えて。
「/////」
赤面したまま、次の言葉を失ってしまった。
「ここじゃなんだから、そこのバス停のとこで話そうか?」
「は、はいっ」
バス停のベンチに移動して。
なつかしい先輩の隣りに腰を下ろして。
私は。
うつむきながらも嬉しくて。
先輩の言葉のひとつひとつを。
しっかり耳に入れていた。