レンタルな関係。【番外編】

 アタシ。

 らぶりー留美。

 あ、本名じゃないわよ。

 当たり前でしょ。

 らぶりーなんて苗字、日本中どこ探したっていないわ。

 ついでに留美も本名じゃないわ。

 アタシのオカンの名前よ。


 もう随分会ってないけどね。


 本名は…

 言わないわ。

 恥ずかしいもの。

 男前すぎて。


 アタシが働いてるのは、「オネエマンパラダイス」って名前のお店。

 よって、アタシは“ニューハーフ”ではないのよ。

 ちゃんとまだ、付いてるわ。

 結構立派なモノがね。


 ただの“おかま”でもないのよ。

 でも、そうね。

 “おかま”を今時にアレンジした言い方が“オネエマン”ってことになるのかしら。

 まあ、そんなのどっちでもいいわ。


 とにかくアタシ、この仕事と、自分の女としての感情に誇りを持ってるの。

 その辺、バカにしたら承知しないわよ。

 カラダがオトコってだけ。

 心はそんじょそこらのオンナに負けないわよ。

 オンナ以上にオンナって自覚、持ってるし。

 日々、オンナとしての自分に磨きをかけてるし。

 はっきり言って、そのへんのダラシナイオンナどもに説教したいくらいだわ。

 
 アンタたち、そのジャージみたいな格好はなに?

 足元の健康サンダルみたいなのはなに? 

 汚い言葉づかいはなに? 

 オンナとして生まれておきながら…


「もったいないのよ」


 仕方ないわね。

 時代の流れなのかしらね。


 はっ!

 そんなことはいいのよ。


 今アタシ、愛しのナオちゃん追跡中。

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