レンタルな関係。【番外編】

 次の日。


「麻紀? 行ってくるぞ?」

「………」

「………」

「…早く行けば?」

「…じゃがりんこサラダ味、買って帰ってくるからな?」

「……いらないよ、もう。昨日だから食べたかったんだから」

「そっか…ごめん。じゃ、いってきます」

「………」


 ぽりぽり。

 祐二の頭をかく音が聞こえて。


 パタン。


 ドアが閉まった。


「ちょっと怒りすぎたかな」


 “じゃがりんこ”ひとつでここまで怒ってしまうとは…


「あたしもまだまだ未熟…」


 もぞもぞ起き出して。

 時計を見ようと手を伸ばしたけれど。


「あ」


 壊れて動かない目覚まし時計。


「祐二、よく起きれたな」


 あんな適当なヤツでも、仕事にだけはちゃんと行くんだよね。

 無遅刻無欠勤って胸そらして言ってたし。


「そういえば…」


 会社での愚痴もなんにも言わないな、祐二は。

 結構、深残業することも多いみたいだけど。


「あ~あ。もう」


 なんですぐケンカになるかなぁ。

 いつもいつも祐二のせいで。





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