レンタルな関係。【番外編】

「ん?」


 起き上がってテーブルへ向かって歩いていくと、


________

ホントにごめん、麻紀。

必ず買ってくるから!

じゃがりんぐサラダ味!

________



「………」


 祐二の書いたメモ用紙がのっていた。


「りんぐ…」


 間違ってるし。

 
「ぐ、じゃなくて、こ、だから」


 まったく。

 ホントにバカな25歳だよなぁ。


 あたしが怒るのはいつも祐二が原因で、

 祐二のせいなのは確かなんだけど。

 でも。

 大学であったイヤなこととか、ムカついたこととか。

 祐二に聞き役になってもらってうっぷんを晴らしてたり…

 時々興奮しすぎて祐二のことまで叩いたり…


「あでっ!」


 なんて言いながらも祐二は…

 ちゃんと聞いてくれてるんだよなぁ。

 聞いてるというか…


「じゃあ、気分が良くなるよーに、くすぐりっこしよっか、麻紀~~」


 無駄なちょっかい出してきて、

 またあたしに怒られるんだけどさ。


 それでも…

 祐二のそんな大らかなところに救われてるのも、確かなんだよなぁ。


 あたしの文句と愚痴を聞いても、

 祐二は自分のストレスは何にも言わないんだ。


 時々、

「はぁ…」

 なんて書類みてため息ついてる姿も見たことあったけど、


「どしたの?」

 って聞くと、すぐ笑顔になって、

「何でも~~」

 なんて言って。


「それより麻紀、今日はいつもより可愛いけど何かイイコトあった?」

 
 とか、あたしに振るんだよね。

 そしてかまってくれるんだ。


 よく考えれば・・・

 大したヤツなのかもしれない。


「どれ。あたしもバイト、がんばろっ」


 メモ用紙をかばんに入れて、あたしは出かける準備を開始した。


 う~~んと伸びをすると、

 ベランダからスー…っと気持ちいい風が流れ込んできた。




 


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