レンタルな関係。【番外編】

 バイトに行って、唯衣と話して。

 どうやら一度出て行った流川直人がまた戻ってきたらしい。


 オモシロそう。

 なんて思ってしまったけど。

 いや、今も思ってるけど、

 部屋ごとぽ~~んと他のオトコに貸しちゃう要くんって一体…。

 唯衣も大変だ。


 祐二も相当変だけど、要くんも相当なもんだなぁ。


 それに比べれば…

 まあ、祐二の行動には、目を潰れなくもないか。



 
 
「麻紀… あんたケーキにらみ過ぎだから」


 バイト帰りの駅前のケーキ屋さん。

 ケンカのあとはケーキ。

 甘党だから、アイツ。


「これと、それと、あれと…、あ、こっちのも下さい」

「随分買うね…」

「アイツ4つくらい平気でペロッといくからね」

「げ。マジで? すごいね」



 唯衣と別れて。

 戻る途中で夕飯の材料を買って。

 エコバックに詰め込んで。

 そういうとこ、なかなか地球に優しいあたし。


 アパートに戻ってみると、祐二はまだ帰ってなかった。

 とりあえずご飯の準備をしていると、


「ただいまぁ~麻紀~」


 いつもの間延びした声で祐二が玄関のドアを開けた。


「おかえり」

「ただいま~」

「今日ね、ケーキあるよ」

「うそっ! マジで? ラッキー」

「この前も食べたけどね」

「ケンカのあとの定番」

「分かってんじゃん」

「麻紀のことはなんでも分かってんだよ~ん、オレは」

「…あっそ。今ごはん作ってるからちょっと待ってて」

「ほ~い」


 頬が緩む。

 あたしも単純だよね。





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