レンタルな関係。【番外編】
夕飯の片づけをして。
「ケーキ食おうっ、ケーキ」
冷蔵庫からケーキの箱を引っ張りだした祐二。
嬉しそうにテーブルに運んでくる。
「どれ食べよっかな~」
言いながら箱を開き始めた祐二の手が止まる。
「う」
「なに?」
「今日も派手にやってくれましたね、麻紀さん」
「え? なにが?」
「この前より凄いぞ、これ」
「んん?」
祐二の指をたどって箱の中をのぞきこむと。
「あ」
「すげ~べ?」
「すご…」
「一回転してるショートケーキなんて初めて見たわ、オレ」
「あ~~やっちゃったか…」
箱のなかのケーキ。
3つがキレイに一回転していた。
この前も…
唯衣と別れるときにおもいっきり手をふってしまって。
振ってる手のほうにケーキの箱があるってことをすっかり忘れてて。
今日は…
「あ、エコバックに夕飯の材料と一緒に入れてきたからかなぁ」
冷蔵庫に入れ代えるときに、
ヤバイかな、とは思ったんだけど。
エコバックの中で150度くらい斜めってたんだよね。
「ごめん、またやっちゃった」
「ま~いいじゃん、いつものことだし。今日のは特にすごいけど。ケーキに変わりなし」
そう言って祐二は、
逆さになっているケーキをつまみあげて、フォークも使わずそのまま頬張った。