最悪な出会いから
休日出勤
「面白くないですね」と田中君。
「えっ? 何が?」
「御曹司ですよ。家がセレブだというだけであれですよ」
「いいじゃない。田中君には綺麗な彼女が居るんだから」
「そうですけど……」
「何? 事務の子に好みのタイプでも居たの?」
「違いますよ。僕は彼女一筋ですから」
「それなら余計、関係ないでしょう?」
「男の価値は家柄なんですかね?」
「違うと思いますけど」
「藤村さんは好きな人は居ないんですか?」
「う~ん、今は興味ないかな。仕事が恋人」
「でも勿体無いですよ。藤村さん位の年齢が女性として一番輝いてる年代だと思いますよ。僕は」
「どうかしらね……。さて私、明日仕事なのよ。そろそろ脱け出そうかと思ってるんだけど……」
「この後、二次会とか言ってましたよ」
「冗談じゃないわよ。ヘアサロンの内装がまだ決まらないの。明日は会社で缶詰めなんだから……。じゃあ後よろしくね」
「分かりました。お疲れさまです」
田中君は笑顔で見送ってくれた。
翌朝、本来は休日なのだけれど……。
いつものように九時前には出社した。鍵を開けようとして。ん? もう開いてる。私の他にも誰か出て来ているんだ。
「おはようございます」
とオフィスに入った。すると
「おはようございます」
と返事が返って来る。
えっ? 御曹司? こんなに早くからどうしたの?
「昨夜は遅かったんじゃないの? 二次会も盛り上がったんでしょう?」
「はい。皆さんお強いですね。とても敵わないですよ。マンションに帰ったのが二時過ぎてましたね」
と笑っていた。
「それで、この時間に会社に居るの? 若いわね」
「早く仕事を覚えたくて。僕の場合はスタートが遅いですから他の人の何倍も努力しないと。我が儘を徹させて貰った訳だし。そうじゃないといつまで経っても藤村さんに追い付けませんから」
「私……?」
「はい。前にも言いましたけど本当に完敗でした。大学で四年間学んだ事なんて、基礎の基礎でした。僕は何も分かっていなかったんだと思い知らされました。あなたと仕事で肩を並べられる位の男になりたいんです」
「ここだけじゃなくて他社にも素晴らしいデザイナーはいくらでも居るわ。生涯の仕事と決めたのなら目標はもっと高く掲げるべきだと思うけど」
「えっ? 何が?」
「御曹司ですよ。家がセレブだというだけであれですよ」
「いいじゃない。田中君には綺麗な彼女が居るんだから」
「そうですけど……」
「何? 事務の子に好みのタイプでも居たの?」
「違いますよ。僕は彼女一筋ですから」
「それなら余計、関係ないでしょう?」
「男の価値は家柄なんですかね?」
「違うと思いますけど」
「藤村さんは好きな人は居ないんですか?」
「う~ん、今は興味ないかな。仕事が恋人」
「でも勿体無いですよ。藤村さん位の年齢が女性として一番輝いてる年代だと思いますよ。僕は」
「どうかしらね……。さて私、明日仕事なのよ。そろそろ脱け出そうかと思ってるんだけど……」
「この後、二次会とか言ってましたよ」
「冗談じゃないわよ。ヘアサロンの内装がまだ決まらないの。明日は会社で缶詰めなんだから……。じゃあ後よろしくね」
「分かりました。お疲れさまです」
田中君は笑顔で見送ってくれた。
翌朝、本来は休日なのだけれど……。
いつものように九時前には出社した。鍵を開けようとして。ん? もう開いてる。私の他にも誰か出て来ているんだ。
「おはようございます」
とオフィスに入った。すると
「おはようございます」
と返事が返って来る。
えっ? 御曹司? こんなに早くからどうしたの?
「昨夜は遅かったんじゃないの? 二次会も盛り上がったんでしょう?」
「はい。皆さんお強いですね。とても敵わないですよ。マンションに帰ったのが二時過ぎてましたね」
と笑っていた。
「それで、この時間に会社に居るの? 若いわね」
「早く仕事を覚えたくて。僕の場合はスタートが遅いですから他の人の何倍も努力しないと。我が儘を徹させて貰った訳だし。そうじゃないといつまで経っても藤村さんに追い付けませんから」
「私……?」
「はい。前にも言いましたけど本当に完敗でした。大学で四年間学んだ事なんて、基礎の基礎でした。僕は何も分かっていなかったんだと思い知らされました。あなたと仕事で肩を並べられる位の男になりたいんです」
「ここだけじゃなくて他社にも素晴らしいデザイナーはいくらでも居るわ。生涯の仕事と決めたのなら目標はもっと高く掲げるべきだと思うけど」