鏡花水月◌˳⚛˚
家に帰っても、ブツブツと何か呟いている。『有り得ない』『認められない』『採点ミス』耳障りで仕方が無かった。同時に、私が理想の娘では無いのだと理解し始めた。そう思うと、急に私の中の何かが切れた。
「私は落ちたんだよ!認めろ!理想の子供じゃない!周りより劣ってんだよ!さっきから黙って聞いてりゃ採点ミスだの有り得ないだのうっせえ!失敗しても経験なんだろ!?ならいいだろ!黙れクソババア!」
母親は呆然としていた。その顔がやけに癪で、自然に皿へと手が伸びた。

─ガシャン
─パリン

皿の割れる音が家中に響き渡る。一通り割終わってスッキリした頃、父親が帰ってきた。
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