【短編】君だけを愛したい
君だけを愛したい
― WATARU ―
あー…、眠い……
昨日、遅くまで本読みすぎたせいだな。
朝。
高校まで徒歩15分の距離をダラダラと歩きながら。
毎日おんなじこと考えてんなー…とか思って、鼻で笑ってしまうオレ。
高澤渉(タカサワ ワタル)
受験生の自覚ナシな高3、18歳。
容赦無く照り付けてくる夏の太陽が、寝不足の体には正直キツイ。
汗ばんでずり落ちてくる眼鏡を押し戻しながら歩き続け、校門が見えてきた頃……
「渉ちゃーんっ!!」
「うわっ!?」
ただでさえ暑いのに、衝撃と共に背後から抱き着いてきたのは、
「崎村……」
「渉ちゃん、おーはよっ♪」