【短編】君だけを愛したい
バンッ…と扉の開く音と閉まる音が2回聞こえて、オレは薄っすら目を開いた。
……っとに、誰だよっ!?
太陽の眩しさに目を細めて音の出所へと目を凝らすけど、ぼやけた視界では見えるはずもない。
寝起きのはっきりしない思考と気だるさを身に纏ったままでは、眼鏡をかけてまで見ようとは思えなくて。
誰か来ただけだろ……?
そう考えて、もう一度目を瞑ったオレに落とされた影。
「渉ちゃん、見ーつけたっ♪」
この声、この呼び方は……
「……崎村?何で、ここにいんだよ?」
眼鏡をかけて見上げた先には、満面の笑みを浮かべた崎村がいて。
オレは、思いっきり顔を歪めてしまっていた。