【短編】君だけを愛したい


落ち込んだかと思って、人が真剣に考えてればコイツは……


はぁっ…と息を吐いて崎村を見返すと、もう一度ニコーッと微笑み返された。



「崎村に教えたら、スゲー頻繁に鳴らされそうだよな……」


「ゔっ!!……最低限に抑えるから、ダメ…ですか?」



図星を突かれたらしく、ギクッと肩を揺らした崎村が

ひきつった笑みを浮かべ、捨てられた子犬みたいにすがりつくように見上げていて……


オレは、声を出して笑っていた。



「わ、渉ちゃんが……笑った―――」



そんなオレを、心底驚いた表情で見つめる崎村。


そんな崎村の反応に、オレは笑うのを止めて眉をひそめた。



< 16 / 41 >

この作品をシェア

pagetop